「求人サイト」のコンテンツとして「夫の扶養から抜け出したい」という漫画がありましたがこのマンガも「広告」マンガです。
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お仕事マンガと広告マンがの違いってよく似てるから難しい。
「登場人物が主」なのか「広告したいものが主なのか」しか区別がなく、重なる部分が大きいので別に区別する必要もないと思うんですが、
どうしても「広告対象物の擬人化」は臭みが強いなあという印象です。
このマンガは主人公がアホすぎて「退職以降業をやってる弁護士」の姿があまり見えないので仕事の広告マンガの領域にとどまっている。
「健康で福祉的な最低限の生活」だって主人公は最初アホの子として描かれているけれどあっちは当事者なんだよね。
でもこちらの主人公は、事務員の立場でありながらその領域を越えて弁護士の立場からふるまってるようなところがあって非常に違和感がある。
①主人公は弁護士のアドバイスの結果、自分の意思で会社に犯行の意志を示している。
そして、その結果雇止めになっている。
②そして、アドバイスをくれた弁護士が退職代行業をやっていることを知って自分もその仕事を目指す。
いや、こういう話を描くのであれば、
「なぜこの弁護士は退職代行業をやっているのか」という部分を描くべきだと思います。
しかも、この弁護士は弁護士事務所の所長でもない。
その事務所の所長とも面合わせせずにいきなり事務職として採用されている。
そしたら、案の定、弁護士事務所の所長の方針は①で主人公を救ってくれた弁護士と違う。
にもかかわらず、なぜかそのあたりの軋轢の影響を全く受けずにのびのびと仕事をしてやりがいを感じる?
無茶苦茶ですわ。
これ完全に思考パターンが青二才(TM2501)さんと一緒じゃねえか……
私が声をかけた時に調子こいて大言壮語し、実際に仕事を始めたら「思ってたのと違う!」って勝手に切れてすぐに仕事を投げ出す。独りよがりにもほどがある。
しかも、そのことについて怒られても全然反省しない。
なんかもう無茶苦茶だよねこれ。
「退職代行 → 会社を訴える」の描写まできてようやくそれっぽくなってきたけどここも弁護士の実務部分はすべて省略されていてリアリティがない
お仕事漫画としてのリアルを全く無視している。
監修に弁護士の人がついているはずなのに、全く参考にならない。
これはマンガ家の人の聞き込みが純粋に足りないのかそれとも監修の人があえて情報を伏せてるのかどっちなんだろう?
このマンガ、何がダメかというと、「健康で福祉的な最低限の生活」と違って主人公は自分の行為や発言に対して何の責任も負ってないところなんだな……
だから無責任に強気に出られる。
リアルなお仕事漫画に、一人だけ「ネット論客」が混じってるみたいなのは少々白ける。
逆にいうと、不知火弁護士は責任ある立場のわりにわきが甘すぎてこれもリアルさが感じられない。
いろいろと、マンガ的に誇張しようとしすぎて、一番大事な「お仕事漫画」としての要素を放棄してしまっているのが痛い。
そういう意味で、「なによりもまずマンガとして面白くする」ことをないがしろにしているのがイラっとする。
主人公がせめてパラリーガルまでなって、このあたりの状況が改善されるまでマンガが続けられれば、もうちょっとやり方が変わってくるかもしれない。