為替レートを大きく動かす要因は「貿易収支」と「投資収支(資本取引)」で、以前は貿易黒字国の日本は円高圧力が高まる、という話をしていました。しかし貿易収支と投資収益は額が全く違います。
2008年→2015年で
世界全体の貿易によっていきかうお金は年15.7兆→18.7兆円になりました。
https://www.jetro.go.jp/ext_images/_News/releases/60445e1b917a7dfb/outline2.pdf
一方、外国為替取引額は、1日で3.2兆→6兆まで膨らんでいます。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/opinion/fx/h_beginner/0010.html
つまり、前者と後者では100倍以上の差があります。
つまり、日本が連休中なぜ円高になりやすいかというともう圧倒的にこの資本取引の影響なんですね。
①普段、アメリカ国債など金融商品に投資している日本の機関投資家は日々「円売りドル買い」をやっている。
②日本の機関投資家が休みになると、全体的にこの動きが鈍り、ドルの需要が下がる。そして、アメリカ等外国の機関投資家は普通に投資していますから、「ドル売り円買い」のオペレーションは継続されます。
この力で、連休中だけ円の需要が少し高まるので円高になるというわけです。貿易取引による円高効果は、ほとんど期末締めなどに集中するので、その時以外は無視してもよいでしょう。
本日9月22日は祝日で日本だけ休みだったのですがはたして……。
確かに午前中は円高だったのですが、それ以上の機関のドル買い圧力によって、ガンガンドルが買われましたね。不思議なことです。
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UIP(Uncovered Interest rate parity)=国債の人気と為替レートは直接的な関係がある
UIPというのは疑似裁定取引のことです。「日本国債のリターン」と「アメリカ国債のリターンを、予想為替レートで円に換金した時のリターン」を計算して裁定取引を行うこと。
例えば、2008年現在では10年物アメリカ国債の利回りは3.5%、日本が1.43%でした。当然、これだけ差があるとアメリカは円をドルに換えて、アメリカ国債を買います。国債の人気が高ければ、その国の通貨が高くなるというわけです。そのため、この利回りの差がなくなるまではドル高円安になります。
ところが、2009年になって、FRBは金利の引き下げを行い、これにより国債利回りも大幅に低下(3.5→2.1%)したたためここから猛烈な勢いでドル安円高が加速しました。2010年5月は欧州ギリシャ危機の影響でフラッシュクラッシュが発生しドル円は95円から87円まで急落。最終的に2011年11月に80円代まで低下。
ドル円は日本は2008年1月時点では119円あったのに、2010年にかけて80円を割り込むまで売られることになったのだから恐ろしい恐ろしい。
(本当はバーナンキのQE2が圧倒的な規模で行われていたらドル円は75円くらいまで行くとか言われてたらしい。日本ではバーナンキを過小評価してるけど、彼のおかげで助かったという面もあるかもね)
さて、現在のアメリカと日本の長期金利は・・・
アメリカは1.65%。ここから金融引き締めによって上げていく予定。
http://jp.investing.com/rates-bonds/u.s.-10-year-bond-yield
日本は…… -0,025%。
http://jp.investing.com/rates-bonds/japan-10-year-bond-yield
ああ、0%ターゲットって金利引き下げじゃなくて、引き上げか!
これ実質売りオペか! 即テイパリングになる可能性も。
しかし、10年物のチャートひどいなこれ。
アメリカが利率上げるまでは、今回の中長期ターゲット設定は、アメリカ国債金利と、日本国債金利の差を埋めてしまうからUIPのルールに従えば円高を誘発する。
うーん、やっぱりもう一回ドル円は底を見に行くような気がしてきたぞ。
本日の内容はこちらの本から。