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モルフォ講義4 「2Q決算およびAR関連企業との提携について」

たびたび取り上げてきているモルフォについてです。もう4回目ですね。

今回読む資料はこちらです。

株式会社コンセプトとの資本業務提携を発表
画像処理技術分野等の研究・製品開発から事業展開を共同で推進
http://www.morphoinc.com/news/jp-pr-20160610qoncept

平成28年10月期 第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1371718

2016年10月期 第2四半期報告書
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2362751

一つ目の追記
http://www.morphoinc.com/news/jp-pr-20160610qoncept
「モルフォはコンセプトの株式の約10.6%を取得する予定」
株式会社コンセプト
http://qoncept.co.jp/



まず概要

3行で説明すると

「2Qは為替差損以外では売り上げ-0.2%、営業利益は-0.5%」であり、事業には全く問題なしという点と為替による影響が大きく数字的には一時的に足踏みしそうだが長期的にはさらに有望度が高まったという2点だけ覚えておいてください。


今回の決算について簡潔にまとまっていますブログありましたのでまずこちらをご覧ください。
サイオスの調査報告書とモルフォの決算 週末ポートフォリオ公開 (平成28年6月10日時点) - ウォーレン・バフェットへの手紙

通期予想の進捗率から言えば、十分な数字。

これについては、今までの傾向からすると売り上げが1Qと2Qに偏りがちなこの会社の性質上、私はネガティブに見ていますがさてどうなるか。

いくつかの好材料がうかがえる。

・売り上げは横ばいだが、売上原価が大きく減っている(利益率増)
・新規事業のディープラーニング事業が早くも黒字化していること

数字がスケールしても、原価が嵩まないというのは利益を出す局面においてすごく大きな武器になる。

こちらも大事ですね。「減益」ではあるが「利益率」は上がっている。特にディープラーニング分野で黒字化しているという点はポジティブサプライズでしょう。




ここからはWさんに詳細部分を分析してもらいます。

株式会社コンセプトとの資本業務提携 =AR事業への本格進出

http://www.morphoinc.com/news/jp-pr-20160610qoncept

今回のコンセプト社との提携は「モルフォがAR事業に本格的に乗り出す」ことを意味します
つまり、初めてARをやるよと公言したわけで、本当の意味は相当大きい。


①ポイントは
・モルフォはコンセプトの株式の約10.6%を取得
・顧客基盤や事業ノウハウを融合
Internet of Visionの実現が一歩前進

Internet of Visionつまり。「ビジョンのインターネット」は、「あちこちの機器に目をつける」という意味です。機器自身が見たものを理解すると考えればよいです。ただし、機器内で理解するとは限りません。ここがロボットとの最大の違いとなります。


②次にコンセプトと言う会社について。

コンセプトの技術内容一覧
http://qoncept.co.jp/ja/technology.html

AR(拡張現実感)を扱う会社です。モルフォがまだ手を付けていなかった分野を見事にカバーします。内容は「放送、スポーツ、建築土木、ドローン、組み込み機器をはじめとした様々な分野に技術を提供」。ここで初めて「ドローン」が出てきたことに注目。ドローン自身が映像を見て自律行動出来るようにする研究もしている会社です。


他には「スポーツ分野ではリアルタイムで使用可能な計測技術として、国際大会等の大舞台で活用」。 具体的には順位の自動判定などですね。

ここのキモは「Visual SLAM」。「福岡国際マラソン」の事例では、ヘリコプターの移動やカメラのパンチルトをリアルタイムに推定することで、位置姿勢によって変化する街並みの空撮映像とCGのマラソンコースのバーチャル合成を実現しました。更に付け加えるとこれはドローンへの応用が即可能です。


モルフォがまだ手を付けてなかった「ARへの応用」「ドローンの目としての画像処理」がこの会社との提携によってこれから具体化していくと考えれば良い。


決算短信について

平成28年10月期第2四半期決算短信〔日本基準〕(連結)
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1371718

「モルフォ、上期経常が24%減益で着地・2-4月期も55%減益」
http://kabutan.jp/news/?b=k201606100036


①上期は経常利益が-23.6%、純利益が-26.1%となっている。

6月初旬にミラーレス車や、建築事業者向けソフト売り上げの期待上げがあり、
その反動もあってたたき売られる。


②この減収減益の原因は重要。為替差損以外に収入の期間ズレなどがあるか

「モルフォが3日続伸、16年10月期は放送局や建設事業者向けソフト事業黒字転換と報じられる」
http://kabutan.jp/news/marketnews/?b=n201606010114


③為替差損を無視すると、全体は前年期横ばい

1.当四半期決算に関する定性的情報

第二四半期において、海外では新規顧客や追加での案件獲得など順調な成果を出している。ネットワーク事業においても、深層学習などの基幹技術を用いたネットワークサービスを行った成果が出ている。

「売上は前年同期比-0.2% 営業損益は-0.5%」

経常損益は、急激な円高の進行により為替差損が61,253千円出たため上記の数字に。
売上が微減にもかかわらずこれだけの損失が出たのは為替のせいですね。




④メインのカメラデバイス事業は「減収だけど増益」(ややネガティブ)
中国で大幅に伸びたが、他の国で減った。ソニー」「モトローラ」などの影響だろうか?
売り上げは-7.0%。 利益は手数料が減ったので+0.8%
この部分についてはもう少し詳細確認が必要


⑤ネットワークサービス事業(ディープラーニング含む)は「大幅増収で黒字転換」(サプライズ)
画像処理や深層学習をクラウドサービス業者に提供しライセンス料をとってサポートなどをしている。売上は127%アップ、利益は赤字から黒字転換。


⑥ただ、とにかく為替差損がでかい。(ネガティブサプライズ)
そういうわけで、実はどちらも事業自体は好調だし、来期には両方上向きの期待が持てる。

しかし、ここまで為替差損が出て、そしてこの為替状況は年初の時点では年初計画のままなのか、今期見直しが入っているのか。レートは不明ですがここは明らかにしておいてほしい。
その状態で通期計画の見直しがないというのは不思議だ。

http://textream.yahoo.co.jp/message/1003653/3653/94/523

①想定為替レートについて
想定為替レートにつきましてですが、当社では具体的な数値の開示を控えさせて頂いている状況でございます。海外のお取引先様が多いため、為替の影響は当然ございますが、戦略的な事項及び
お取引先様との契約面での影響もございますので、回答を控えさせて頂いております

おそらく固定ではなく機動的に調整していると思われます。しかしそれでも急すぎる変動でうまくいかなかったということでしょう。



⑦財政状態はデンソーへの第三者割当増資の結果純資産が増加で問題なし。

当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べて872,267千円増加し、2,908,435千円となりました。

負債が全体的に減って主に第三割当増資とストックオプションの行使によって純資産が増えた。この資料からは、実際は利益が微減、全体的には純資産の形で資産が増加してることが読み取れた。

むしろここから、今回のコンセプトのような資本提携を進めていく可能性がある。



⑧四半期報告書をみても、事業自体では利益率が改善しており問題ない
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=yuho_pdf&sid=2362751
これを見ると、利益は減ってるものの大幅な黒字を維持してる。

モルフォの今後の見通し。本業順調だけれどやはり7000ライン維持は可能か?

ファンダメンタルで考えると事業的には全く問題がなく、将来への期待性はむしろ高まる内容ですが業績的には為替差損の継続を考慮した下方修正が警戒されます。にも拘わらず、新しい想定為替レートに基づいた業績予測の修正がありません。(修正後は増収増益だけれど、経常利益が低迷する、という形になるはずです)

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テクニカル的には下抜けが確定。100日線が7000円ライン。200日線は6000円の下ですが、価格抵抗帯が最も強い6200円あたりを割るとはとても思えません。

そう考えると、大暴落はありませんが、プラスに転じる材料は今のところ特に無い(むしろ読解力が無いひとが多いのでAR参入のインパクトはしばらく無視される)ため、次のIRが出るまで6000円前後になるのが一番考えられる展開でしょうか。


おまけ 「自社株買い」あるいは「さらなる資本提携」の期待について

モルフォ中間決算の分析(前編)
http://mokofund.seesaa.net/article/438863413.html

・少なくてもヨコヨコで動く限りでは為替差益はなくても、差損の上積みはないと思われる。

・3Qの動向を見てみないといけないが、ネットワークサービスの伸び次第では十分為替差損を埋めるくらいの利益貢献は可能だと思う。

・なお、今の時点では電子ミラーについての売上はゼロでしょう。ただし今後、カメラデバイスの売上以上にネットワークサービスの売上が上回ってくる(=成長力はまだまだ見込める)はず

・増えた自己資本で自己株買いが期待できる。前回7000円水準で自社株買いをするくらいだから、株価調整局面ではどこで出動してもおかしくないといえる。もちろん買った自社株は、役員社員への報酬、株式交換でのM&A、用途は広い。


さらにおまけ。自動運転は日本がリードするはず(Wさん談)

数日前まで海外にいました。海外の鉄道・バス・トラムなどを乗って、ずっと歩いてきて一つわかったことがあります。自動運転に最も向いている国は日本です。

海外は恐ろしいほどに信号がほとんど置いてありません。そして、歩行者は信号のルールを全然守らない。観光地になると、歩行者がたくさん道路をわたって道路が車で詰まる。で、運転手さんが手を振って道を譲ってるわけですがこれを自動運転で実現出来るのか?と思いました。自動運転だけだと、観光地など人がたくさん渡る場所では、ずっと止まって動けなくなるのが目に見えてますね。

結局、信号などが多く交通ルールをかなり守る日本が自動運転のしやすさはかなり上なのです。国民のモラルが高いことがすなわち、自動運転やロボットの普及を促進します。


海外は自動販売機がほとんどありません。コンビニに至ってはありません。自動販売機は実はものを売るロボットと考えれば、日本はかなり進んでます。さらに、地下鉄などには検札がないので自由に入り放題です。なので、監視員がキセル乗車を厳しく監視します。その点でも、日本の鉄道やバスは非常に効率化を測ってるといえる。すべての意味において、日本はロボットによる自動化が世界で一番進んでいることを実感しました。それを担保するのは、実はモラルを守るという国民性のおかげなのです。モラルを守らないと、機械をぶち壊すなどの妨害であっさりと意味をなくすからです。

以上参考までに。

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