一人で強くなれる人なんていないんだよ。
人生を生きてみたらね、わかったんだ。
一人より、頼れる人がそばにいる人の方が、ずっと強かったんだよ
超ベテラン漫画家コンビによる転生もの。
主人公の小百合は前世では美人で金持ちな家に生まれたため、高慢が服を着たような生き方をしていた。しかしその結果30代を過ぎて没落し、最後にはホームレスにまでなって、最後は極貧生活の中ホームレス狩りにあって殺される。
そんな彼女が死の前に今までの生き方を懺悔し、次に目が覚めた時、彼女は「17歳の女子高生」時代に戻って人生をやりなおす機会を与えられる。
傲慢さはすっかり消え、老後のことを考え謙虚で誠実をモットーに生きようと心掛けようとするのだった。
こうして圧倒的な美貌と権力を持ち、周りを威圧しまくるのに中身はやたらと世俗じみて年寄り臭いおばちゃん丸出しの女子高生が誕生したのだった
アンジャッシュのようなコント自体は面白いと思う。
設定はとても面白いと思います。
要するに、もともと傲慢な性格で回りをビビらせる「悪役令嬢」であり、実際に権力を持っていたから周りから恐れられまくっていたところで中身だけ変わったものだから
何をやっても周りは以前の彼女の振る舞いを前提にしているからビビる。
一方で主人公の小百合は卑屈なくらい謙虚になっているから話がかみ合わない。
この結果、アンジャッシュみたいなコント状態になります。
後はまぁ「はめふら」みたいな感じで、楽しむ作品ということになります。
ただ「金持ち設定」がしょぼすぎて全く金もち感が出てないのが残念
設定的には彼女はなろう世界においては「侯爵令嬢」くらいの地位にあります。
大貴族の娘的なポジションなのです。
ところが、あまりにその描写がしょぼい。上流家庭の雰囲気すらありません。ちょっと年収がいい中流家庭って感じ。
学校での暮らし方も普通で取り巻きもいない。
何一つ権力者のもつオーラがない。周りを勘違いさせる要素が皆無。
その状態で周りだけがビビってる描写は真に迫っているので
「は?」
ってなる。なので1巻の間は読んでてかなりきついです。
ただ、我慢して読めば2巻からはちゃんと面白い作品になってます。さすがベテラン漫画家コンビ。
単にやり直してハッピーなだけじゃなく、過去の振る舞いが夢の中で再生され、それを償いながら生きるという設定は良い。
当たり前だけれど、もともと傲慢にふるまってた人間が
「本当に中身が変わって謙虚になったとしても」
そんなの誰も信じない。 中身は人から見えないので。
なんでも都合よくいくなろう空間と違って、このあたりの「壁」をちゃんと設定して乗り越えるように作品ができている。
また、知識チートの設定もうまい。
彼女は2020年まで生きていたので知識はあるがそのままでは使えない。
アイデアは思いついても、それを1990年代の世界で実践するにはどうすればいいのか頭を使う必要がある。
などなど、漫画としてちゃんと面白くなるように調整がされている。
なんというか、スタートの設定はともかくとして、そこから面白い作品を作れるのか作れないのかってやっぱりマンガ家の力量の差って出るなあと思いました。やっぱりなろうといっても面白い作品は本当に面白いんだわ。
まじめな話をすれば2020年に生きている人間が1990年に戻ったら投資をするけどな。
それが本当の知識チートである。
このチートはほぼ無敵でありばっくとぅーざふゅーちゃーでも実践されている。
この方法さえ考え付けばシルバープランなど必要ないのだがそれを言い出したら話終わるからまぁ……・