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偽善・面目・正論・責任

アルデラミン6巻と7巻から引用するだけの手抜き記事。

偽善について

「イクタ准尉!?なぜあんなに殴られたのに彼に感謝なんか」

「その気はなかったとはいえ子供に血を流させてしまったのは僕のミスだ
 あそこから事態を収拾するのは一苦労だったし、多分のちにも遺恨が残ったはずだ
 彼はそれを取り持ってくれたんだ。感謝しなくちゃ。」


「彼にそんなつもりがあったとは思えません。
 ……あんなの偽善です」


「ねえ、スーヤ。
どんな状況でも一貫して遂げられる無条件の親切のみを善として。
それ以外を偽善だと思っているのなら、考えを改めた方がいい。
だって、人はいつだって状況が許す範囲でしか何かを遂げられないんだよ。

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ディンクーン准尉だってそうだ。

彼の性格では、同胞と殺しあわなきゃらならない今回の戦争はつらいだろう。
向かってくる相手は殺すしかない。けど
そうでない相手は可能な限り大切に扱いたい。

そう願ってしまうのは自然なことだし、
何も恥ずべきことじゃない。

焼いた村の人々を皆殺しにせずに済んだとき、君だってほっとしていたじゃないか」


「…じゃあどうして、こんなに立場が違うんですか。
 イクタ准尉は子供に石を投げられて、顔がそんなにはれるほど殴られました。
 それなのに、ディンクーン准尉は、自分が正しいことをやったような顔で満足しています。
 この違いは、いったいどこから来るんですか…っ」


「…(僕のことを気遣ってくれているのに)ごめんよ、スーヤ。そればっかりは適材適所だ。
 ほら、名ばかりの僕と違って、根っからの騎士である彼に、憎まれ役は似合わないだろ?」

この作品、本当にシビアだな。

重要キャラだからといって全く恩恵がなくあっさり死ぬ。

「英雄」が生きている時代の物語ならカンナは救えたかもしれないけど、
この作品の時代には、もはやそういう英雄は存在しない。
だから、イクタは冷徹な判断でそれを見捨てなければいけなかった。

自分の仲間を守るために。

それでいて、イクタの部隊は楽して勝ってるように「部下には」見える。

「面目」とは

「公衆の面前でののしられたくらいでつぶれるような面目なんて僕は持ってないよ。」

「では逆に、貴様の面目がつぶれるのはどのような場合なのだ」

「うーん、そうだね。
 
 言いたい時に言うべきことを全部言えず。
 守りたい時に守るべきものを守り切れなかった。
 そんな場合じゃないかな」

この作品、
部下のために、自分のさらに上の上司にペコペコ頭を下げてる
人間を、イクタたちが「あなたは最高の上官だ」
ってほめたたえるシーンがあるんだよね。

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無駄に格好いいい大尉

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この作品のこういうところ、本当の意味で格好良くて好き

こういうのを冷笑して、ただ組織に反抗的な態度取ってるだけの、イケハヤとかそういう輩を格好いいと思ってるようなガキにはなりたくない。

正論とは

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相手の逃げ道をふさぐために使ってはいけない


上官の責任とは

よしてください。罪とか償いとか。
そんな難しい話は俺にはわかりません。
おれはただあなたに上官としての務めを果たしてもらえばそれでいい。

作戦行動中の出来事に関してはそれを命じたものが責任を負う。
軍隊の原則です。

ですからね、閣下。
こればっかりは逃げちゃならんでしょ。
その原則があなたに死を命じるなら、
どうかお願いです。きちんと死んでください。
先に行った仲間が、一人でも多く天国に行けるように。
遅れていく俺が、少しでもましな地獄に行けるように

軍隊における司令官の失敗に「次」とか「償い」とかはない。
だからこそ指揮官は必死になって努力することになっているしだからこそ部下も忍従する。
その原則を忘れたサフィーダ司令官は、他者から「死」という責任を強制されることになる。



ああ、それにしてもこれ「皇国の守護者たち」が好きな人は絶対面白い作品なのに。
誰かもっとこの作品を宣伝してあげてほしい。私には無理だ。

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