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ランスシリーズ制作 TADAさんのインタビュー記事を記録しておく

ともかく流行っているものが嫌いなんです。ひねくれ者なんです。ヒロインよりサブヒロインが好きだし、みんなと一緒は嫌なんです。 ファンタジーといえば、ドラゴンやエルフやゴブリンが登場するなど、そういう同じものを作りたくないんです。 アリスソフトのファンタジーが独自で面白い世界観を打ち出せているのは、そうしたファンタジーの約束に対して真面目、不真面目に寄り切らず、うまく混ざったからこそできたものと思っています。

強い主人公が冒険で成果を得たら女の子を襲う、そういうRPGを作りたい。でもRPGを作る技術がないから、いろいろ誤魔化し、工夫して作ってきたわけです。同様に、支配者となり、あちこち攻め込んで女の子を襲いたい、そういうシミュレーションゲームが作りたいが、本格的な戦略シミュレーションを作る技術がないので、これも工夫で出来る範囲で作ってきた。技術的に無理など制限のある中で何とか作ろうとしたから、変わったものができたんですね。それっぽいものができたらOKという大雑把さの賜物だったのかもしれません


自分はゲームを作り終えると、必ず飽きるんですよ。開発中は自分なりに一所懸命に考え、そのゲームシステムで自分が思いつくネタや、その設定で出来るネタなどをすべて突っ込みます。ですから、そうだなあ……飽きるというよりは、もう何も思いつかない状態になるんです。ゲームシステムを別のものにしないとできないんですよ。だから『VI』は、それまで手を付けなかった3Dダンジョンなんです。ちょうどそのころから、自社でも3Dの技術を取り入れつつあったんですね。そこで、ちょっとまた無茶をした


マーケティングなどの偉そうなことはできないので、自分が楽しいことが唯一の基準だったのかなと思います。それ以外の方法を知りませんでした(笑)。あとは、チーム全体がうまく同じ気持ちに乗ってくれたらいいわけで、それが良いことだったかなと。


業界の黎明期に参加できて、作るのが下手でも実践しながら成長できる機会があり、優れたスタッフに出会い……。ずーっと自分の好きなことをしていた30年間でした。



news.denfaminicogamer.jp

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YUKIMIさんは、ファンタジーRPGの流行をあまり知らないがゆえ、独自性のある個性的なキャラクターやネタを出してくれていました。『ランス』世界の基礎となるようなものですね。
 むつみまさとさんは、今風のファンタジー大好き、正統派のものが大好きなので、かっこいいデザインをどんどん出してくださり、『ランス』世界を一段階かっこよく引き上げてくれました。
 『RanceV』は彼が原画を担当してスタートしていたのですが、彼と僕との方向性の違いで難航し、何度か作り直しましたが、最後には頓挫しちゃいましたね。

──方向性の違い?

TADA氏:
 僕はひねくれ者なので、あえて格好悪く、正統派から外したり、流行りからも外したりと、そんな考えでゲームを作っているので、真面目にかっこよく作りたかった彼にはきつかったんだろうなと思います。企画と原画担当は好きな方向が一致しているなどの相性が大事ですよね。

しばらくの後、織音【※】が『Rance5D ~ひとりぼっちの女の子~』(平成14年)から最後まで原画担当をすることになりますが、彼とは相性よかったな。もしかしたら、彼がうまく合わせてくれていたのかもしれませんが。

なんでTADAさんは一般作品を作らないのかなと思っていました。

TADA氏:
 PC88時代に、ファルコムさんや光栄さんなどの作品を見て来ているので畏れ多いです。丁寧さ、技術、コンプライアンス……僕たちでは無理な話です。それにエロゲーや大人向けという、少々雑でも自由気ままで許される居心地のいい環境から出たいとは思いませんでしたから。

 たぶん『鬼畜王ランス』は、いまではもう作れないんですよ。というのも、あの作品は自分の記憶力だけで全体を作っているんです。だからフラグとかぐちゃぐちゃなんです。よくあれを覚えて、繋げていたなあ……という具合で。

──最初にチャートを作ったりとかではないんですか?

TADA氏:
 作っていませんでしたねえ。組み立てながら、「次はこのネタを入れよう」と思いつくと、随時それを足していきました。キレイにルート管理する手段を、自分たちで作れないんです。だから資料もあまりなく、すべて記憶だけで作ってました。

結局は『イブニクル』(平成27年)になってやっと実現するんですが、広大なフィールドを歩きたいと思って設計したのが、『戦国ランス』の原型、最初の『RanceVII』だったんです。

周りのスタッフもすごかった

当時の社内にはあんな『ウィザードリィ』のようなダンジョン制作用のシステムはないんですよ。そのバイトスタッフがアドベンチャーゲーム用のシステムで無理やり作ったんです(笑)。やっぱり、そうやって無理やり作ってるころが、いちばん楽しいんですよね。その裏で、『RanceV』が何度も失敗していたわけですが(笑)

 メイン原画の織音がむちゃくちゃパワフルなんですよ。僕はそのころ、「もう『RanceV』なんて作れないのかなあ……」とちょっと疲れていたんです。
 そうしたら織音が、「はい、これもできました。これも描きました」と、どんどん絵を出してきて、すると僕もだんだん気持ちよくなってきて(笑)。会社全体が、楽しい雰囲気になってきました。

大悪司』で、「織音と仕事するのは楽しいなあ」となったのは大きいですね。

織音がどんどん進めてくれたのと、『ランス・クエスト』からシナリオに入ったヨイドレ・ドラゴン【※】、このふたりがもう、化物のように仕事をして、僕を引っ張ってくれたのでなんとか完成したという感じです

第二部もコンパクトに設計し直してシーンを減らしたんですよ。そうしたら織音とヨイドレ・ドラゴンが、それを元に戻した(笑)。しかも、「もっと増やしたい」というノリで。
 僕自身はもう、力尽きて「うまく着地しようよ」って感じでしたが、ふたりが「まだやれます!」と(笑)。よくやってくれました。

大帝国の失敗

平成23(2011)年4月28日に発売された『大帝国』……ここで僕が大失敗するんですよ。『戦国ランス』がうまくいったから、ここでもうひとつ大好きなジャンルだった第二次世界大戦ものを作ってみようと思ったんです。
 「海戦風で、大好きな戦艦などをいっぱい出そう!」と。もう、自分では「わはははっ!」という勢いで作ってたんですが……失敗しまして。どうしようもなく、立ち行かなくなって。「ここまでならできるだろう」と意気込んだんですけど、でもできなかった。あのとき、いってんちろくが引き受けてくれなかったら、うちの会社は消えてたかもしれません。

実は9のほうが8より先になるはずだった

じつは順番からすると、『RanceIX -ヘルマン革命-』(平成26年)のほうが先に出るはずだったんですけどね
『ランス・クエスト』は本来なら、リーザス【※2】、ゼス【※3】、JAPAN、ヘルマンの4国すべてが終わってから、ヘルマンのキャラクターも登場する形で作る予定だったんです。全キャラ出揃ってから、好きなキャラで遊べるRPGにしようと。

 『ヘルマン』では、表の主人公がパットンで、裏の主人公がランスでした。そのランス側を僕が担当したんです。ですからヒロインのストーリーは、全部独立したものになっています。




昔は「自分が作りたいゲーム」は「自分がやりたいゲーム」だったんです。いまは「作りたい」けど、それを「遊ぶか」といったら、「そこまでは……」という気持ちになっていて。それはユーザーさんに対して不誠実にほかならない。

なにせ30年間アウトプットし続けたので、頭がすっからかんなんですよ。「インプットしないとね」と。

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