導入部分ははしょって地獄門からスタート。
地獄の門 - 「この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ」の銘が記されている。
ここで、今まで人生でかかわってきた人たちを思い浮かべる。走馬燈。
母はダンテを産んだ数年後に死んだ。でも継母もいい人だったらしい。
異母弟のフランチェスコも自分をずっと支援してくれていたという。
地獄前域 - 無為に生きて善も悪もなさなかった亡者は、地獄にも天国にも入ることを許されず、ここで蜂や虻に刺される。
何気にここの描写かなりきついんだよね。
地獄は第一~第九の谷
第一圏 辺獄(リンボ) - 洗礼を受けなかった者が、呵責こそないが希望もないまま永遠に時を過ごす。
罪人でないのに洗礼を受けなかったからといってこの始末
地獄の入口では、冥府の裁判官ミーノスが死者の行くべき地獄を割り当てている。
ダンテもしっぽにまかれるがおとがめなしだった。また疑惑の判定。
第二圏 愛欲者の地獄 - 肉欲に溺れた者が、荒れ狂う暴風に吹き流される。
・夫を殺しアッシリアの王となったセミラミス
・恋のために自分を殺したカルタゴの女王ディド
・情欲を武器に権力者を操ったクレオパトラ
・美貌ゆえにトロヤ戦争の原因になったエレーナ
・パリス
・トリスターナ
・パオロとフランチェスカのエピソード(悪いのはジェンチオットでは?)
序盤なのにベアトリーチェの魂と遭遇する。
教えてくださいベアトリーチェ。愛を、愛を貫くことは罪ですか?
フランチェスカは罪人ですか?二人の悲劇はフランチェスカの招いたことですか?
フランチェスカのあやまちは一体何なのです。愛とは、愛欲とはいったい……
第三圏 貪食者の地獄 - 大食の罪を犯した者が、ケルベロスに引き裂かれて泥濘にのたうち回る。
レベル3なのにかなりえぐい。
ケルベロスに食い殺された後、さらに身体は泥となって排出され
泥から再び人間に戻りまたケルベロスにくわれるというループ。
大食漢は罪人なり!大食いの陰に飢えるものがいることを忘れるな。
人は足ることを知るべきなのだ。フィレンチェのごとき飽食の市は近隣に飢餓で死者の出る街を作るのだ
・チアッコという男性と出会う。
フィレンチについて、黒派が勝ち、さらに地獄に落ちるという不吉な予言。
第四圏 貪欲者の地獄 - 吝嗇と浪費の悪徳を積んだ者が、重い金貨の袋を転がしつつ互いに罵る。
入り口で冥府の神プルートーの咆哮。「パペ・サタン・パペ・サタン・アレッペ!」
師よ、人の欲望にはなぜ限りがないのですか?
なぜあれほどまであさましくなるのですか?
それともあれこそが本当の人間の姿なのでしょうか
第五圏 憤怒者の地獄 - 怒りに我を忘れた者が、血の色をしたスティージュの沼で互いに責め苛む。
ステュグスの沼は黒い水でおおわれている。
人が不平不満を持つことは罪でしょうか?
人は不満を持てばこそ世の中に立ち向かっていけるのではないでしょうか。その通りだ詩人よ。不満を持つこと自体が罪なのではない
その不満に人としてどう向かうかが大事なのだ
不満を自分を磨く糧とし、世に向かったものはこんな場所にはいない。
この地獄に落ちてくるものは、不満を他人に向けた愚か者どもなのだ
自分の不満を他人にぶつけたり世の中を呪った者どもだ。
汚れた怒りを、我を忘れてぶつけ合う。そうしたものの地獄がここだ。
・フィリッポ・アルジェンティがこの沼に沈められている
ディーテの市 - 堕落した天使と重罪人が容れられる、永劫の炎に赤熱した環状の城塞。ここより下の地獄圏はこの内部にある。
永井版ではデュースの町と表記。
・街の住人が門扉を閉ざして立てこもってしまうので、長い時間待つことを余儀なくされる。
・ゴルゴン三姉妹が登場するも天使が登場して助けてくれる。
・天使がそのまま住人も追い立てて門扉を開いてくれる。
第六圏 異端者の地獄 - あらゆる宗派の異端の教主と門徒が、火焔の墓孔に葬られている。
・中に入ると炎に焼かれる住人を見る。その煙が空を赤く覆う。
ここにいる者どもは異教徒なのだ。
彼らは地獄に落ちて当然の異教徒だ!神のただしき教えに従わず愚かにも間違った神をあがめた者たちだ。
地獄に落ち当然の報いを受けねばならん。
誤った信仰の罪はそれほどに深い!やつらはみな熱い南の国からやってきては
我らの聖なる土地に邪悪な異教を広め多くの人々を惑わした。
または正しい教えを受けながら道に背いた行いをした。
だから永遠にこのあばかれた墓の中で熱き炎にその身を焦がし続けるのだ
・ギベルリニ党の知将ファリナータ(マレーネ・デルリ・ウベルティ)に出会う。
ダンテの率いるグェルフィ党を破った敵。
略奪からフィレンチェを守った。
コキュートスの風に吹かれながら山を下っていく。
ミノタウロスと遭遇
・ミノタウロスは、ぱしふぁえと牡牛の間に生まれた子。じゅうかん?
ミノスとパリふぁえのちゃんとした子はアリアドネ。
テセウスがアリアドネの力を借りて殺す。 かわいそうに。
妹に裏切られたことがトラウマで
「やーいお前の妹、テセウスに寝取られ」と煽ると発狂するのでそのすきに横を通り抜ける。
第七圏 暴力者の地獄 - 他者や自己に対して暴力をふるった者が、暴力の種類に応じて振り分けられる。
第一の環 隣人に対する暴力 - 隣人の身体、財産を損なった者が、煮えたぎる血の河フレジェトンタに漬けられる。
逃げ出そうとするとケンタウロスの弓に射抜かれてまたおとされる。
・なんと、ここでアレクサンドロス大王が。
。北イタリアのアッツォリーノも。
・半人半馬のケイロンとネッソスの案内を受ける。
ケイロンはクロノス神の子。アキレウスの師匠。
アキレウスはペレウスと女神テティスの子。
女神はわが子に不死の肉体を与えるために冥府の川に漬けたが
母の手がつかんでいたかかとだけ濡れなかったため弱点が残る。
トロイ戦争にて、トロイの王子パリスにかかとを射抜かれて死ぬ。
第二の環 自己に対する暴力 - 自殺者の森。自ら命を絶った者が、奇怪な樹木と化しアルピエに葉を啄ばまれる。
・ピエール・ディラ・ヴィーニャと会話する。
・自殺者以外にも、自ら家や町・資産を食いつぶした者もここに堕とされる。
第三の環 神と自然と技術に対する暴力 - 神および自然の業を蔑んだ者、男色者に、火の雨が降りかかる(当時のキリスト教徒は同性愛を罪だと考えていた)。
ここは無茶苦茶な基準になっていて、同性愛と高利貸と神を侮蔑したものがすべて同じ扱いに。
よりによって、ダンテの師である「ブルネット・ラディーノ」が同性愛の罪でここにいる。
よいかダンテよ。獣どもに踏み荒らされその糞にけがされた大地であろうと。
そこから生まれる草の芽は清いのだ。
邪悪の巣となりしフィレンチェにも、ローマ人の聖なる末裔は再度生きることができるだろう。
だが、ダンテ。気を付けるのだ。お前を摘もうとするものから身を守るのだぞ。
私が生きていたならお前を守ることができるのだが。
だが、息子よ。わつぁいはお前に話した知識の中に生きているのだ。
第八圏 悪意者の地獄 - 悪意を以て罪を犯した者が、それぞれ十の「マーレボルジェ」(邪悪の嚢)に振り分けられる。
第一から第十まですべてがお仕置き場になっている。
第一の嚢 女衒 - 婦女を誘拐して売った者が、角ある悪鬼から鞭打たれる。
第二の嚢 阿諛者 - 阿諛追従の過ぎた者が、糞尿の海に漬けられる。
・アテネの遊女 タイデ が存在する。
第三の嚢 沽聖者 - 聖物や聖職を売買し、神聖を金で汚した者(シモニア)が、岩孔に入れられて焔に包まれる。
第四の嚢 魔術師 - 卜占や邪法による呪術を行った者が、首を反対向きにねじ曲げられて背中に涙を流す。
第五の嚢 汚職者 - 職権を悪用して利益を得た汚吏が、煮えたぎる瀝青に漬けられ、12人の悪鬼であるマレブランケから鉤手で責められる。
ここにいる悪魔が
・マラコーダ、アリキーノ
・カルコブリーナ
・カニチオ、リビココ、ドラギナット、チリアト、グラフィカーネ、ファルファレロ
・ルビカンテ、バルバリシア
最初は好意的で同行してくれるといっていたのに、
悪ふざけしていたら事故でタールの海におちて溶けてしまう。
それを見たほかの悪魔が逆上して襲い掛かってくる。
第六の嚢 偽善者 - 偽善をなした者が、外面だけ美しい金張りの鉛の外套に身を包み、ひたすら歩く。
せいぜんあっちこっちにいい顔をしてその場限りの浅知恵で人気を取り
真面目に生きる人々をおしのけて自分だけがいい思いをしてきた。
さらに、群衆をたきつけて罪なき人を陥れたものは地面にはりつけにされる。
鉛マントの連中が通るたびに踏まれ、躓かれる。
第七の嚢 盗賊 - 盗みを働いた者が、蛇に噛まれて燃え上がり灰となるが、再びもとの姿にかえる。
盗人どもが盗むのは単に富などの物質だけではない。
希望や幸福や喜び、人の心のたいせつなものを盗むのだ。
人がたゆまぬ努力を重ねて手にした富を掠め取り人を不幸と地獄に追いやる。
神の摂理にしたがった正しい生き方を壊す。
その罪は重い。蛇という卑しい生き物に責められる地獄こそ彼らにふさわしい。
さらに自らが蛇になるものも存在する。
人もまた蛇のごとき毒をもち、
邪悪な二枚の舌を使い分けて冷たい肌で世の中を渡るということか
第八の嚢 謀略者 - 権謀術数をもって他者を欺いた者が、わが身を火焔に包まれて苦悶する。
・オデュッセウスとディオメデスがいる。
ともにトロイ戦争の名将などとたたえられているがそのやり口は汚かった。
神の怒りを買い、二人が組んでいた通り、二人で一緒に神罰を受けている
第九の嚢 離間者 - 不和・分裂の種を蒔いた者が、体を裂き切られ内臓を露出する。
・ベルトラン・デル・ボルン。
ヘンリー二世の長男ヘンリーをたきつけて父に背かせた。
地獄の中でもトップクラスに有名な首提灯の絵
第十の嚢 詐欺師 - 錬金術など様々な偽造や虚偽を行った者が、悪疫にかかって苦しむ。
・グィードとアッアンドロ。贋金つくり。。
・キプロスのミッラ。父を欺いて欲情に狂った。
お前が思い煩うことはない。
お前の知った男がそこにいた。ただそれだけだ。
それ以上考えるな。考えるべきはその男であってお前ではない。お前はただ見るだけでよい。
人はおろかで、人生は厳しい。
人は常に罪を犯しかねない環境にあるといえる。
ゆえに生きるとは、人生とは。
神が人に与えた試練なのだ。
ダンテよ、お前がこの地獄でみたものを人の世に伝える意味もそこにある。
人は死後の世界があることは知らねばならない。
現世だけうまく生き抜こうとするものは地獄で永劫の苦しみを味わうことを知らねばならぬ。
人が死後の世界のあることを知れば、現世での生き方も変わるだろう。
現世が神によって人間性を試される場とわかれば人の生きざまも変わるやもしれん。
最下層の地獄、コキュートスの手前には、かつて神に歯向かった巨人が鎖で大穴に封じられている。
巨人族は、ウラノスとガイアの間に生まれた末子クロノスが父であるウラノスの性器を切り落とし、
そのときとびちった血が、母なる大地であるガイアにしみて巨人が生まれた。
巨人族は力を過信して神に挑んだが、ガイアがゼウスたちに弱点を教えたことで神々が勝利した。
巨人族は力の源である大地に足を付けることを許されず鎖につながれ続けている。
海の神 ポセイドンの子 アンタイオスに運んでもらって最下層に降りる
第九圏 裏切者の地獄 - 「コキュートス」(Cocytus 嘆きの川)と呼ばれる氷地獄。同心の四円に区切られ、最も重い罪、裏切を行った者が永遠に氷漬けとなっている。裏切者は首まで氷に漬かり、涙も凍る寒さに歯を鳴らす。
第四の円 ジュデッカ Judecca - 主人に対する裏切者 (イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダに由来する)
地獄の中心ジュデッカのさらに中心、地球の重力がすべて向かうところには、神に叛逆した堕天使のなれの果てである魔王ルチフェロ(サタン)が氷の中に永遠に幽閉されている。魔王は、かつて光輝はなはだしく最も美しい天使であったが、今は醜悪な三面の顔を持った姿となり、半身をコキュートスの氷の中に埋めていた。魔王は、イエス・キリストを裏切ったイスカリオテのユダ、カエサルを裏切ったブルートゥスとカッシウスの三人をそれぞれの口で噛み締めていた。
神に直接口をきける大天使はおごりから自らが神の玉座に座ることをたくらんだ。
そして多くの天使たちをそそのかし自ら神への反乱軍を組織したが
この時は神はルシフェルを天界から投げ落としただけだった。そのあと堕天使を率いて神の軍にいどみ一時は勝利するも最終的に大天使ミカエルによって敗れる。
地獄編のゴール
2人の詩人は、魔王の体を足台としてそのまま真っ直ぐに反対側の地表に向けて登り、岩穴を抜けて地球の裏側に達する。そこは、煉獄山の麓であった。
次は煉獄編