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安部政権の財政出動についての評価(真水部分とはなにか?)

そもそも財政出動を何のためにやるかというと、デフレを食い止めて、GDPの停滞を上向きに持っていくためですよね。そのために「デフレギャップ」を埋めることが重要。
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もっと簡単に言うと
今の日本は「供給能力はあっても需要が足りない」という見立てで、

・短期的で
・直接的な
・需要創出

をするために財政出動が求められているわけです。

【藤井聡】秋の景気対策の「成否」は、「真水の水準」にかかっている | 三橋貴明の「新」日本経済新聞

今、何よりも注目すべきものは、「財政投融資*1の水準ではなく、いわゆる「真水」*2の金額が、一体いかほどなのか、という「一点」だと言って過言ではないのです。

財政出動は長期も短期も大事です。とはいえ、「長期の支出を強調することで全体を膨らませ、短期の支出を十分にしない」のでは、日本はデフレ脱出のための十分な「速度」を得られないのです。財政投融資という短期の支出(需要)にならない「貸し出し」で全体を膨らませても、短期のデフレギャップは埋まりません。

つまり財政政策といってもいろんな方法があります。長期的で間接的なものもあります。でも今は「今年中に確実に効果を持つ財政出動はどれか?」が大事です。

それが今議論されている真水部分なのです。




で、最近は金融政策一辺倒の政策(浜田さんなどが中心)から、クルーグマンやらが来日して、バーナンキもやってきて財政政策への舵きりということで藤井聡さんが発言力を強化しているという噂になっていました。(バーナンキさんはさらにラディカルなヘリマネの話してましたけど)



その藤井聡さんは「15兆円の真水対策」を主張していました。

筆者がこれまで繰り返し、5兆円規模の財投に加えて、15兆円規模の「真水」を、全国各地の重要投資項目に支出することが必要であると主張してきたのは、以上の認識でもって景気対策を考えてきたからなのです。

たしかに後先考えずにこんだけ直接経済に突っ込めば、一時的にはすごい効果があったと思います。現在のGDPのデフレギャップは6兆円~20兆円と曖昧な幅が存在すると指摘されていましたが、15兆円はその上限付近。安部政権がこれだけの財政出動を管理できるとは思えませんが、ここまでやればそりゃ政府の本気は伝わるでしょうし、企業も安心して投資ができたでしょう。
(短期的なバブルになるだけだと思いますけどね)






だけど、観測気球段階とはいえ、最低ラインである6兆円どころか3兆円になるのではないかという見込みが発表されましたね。


経済対策:事業規模20兆円超で調整 景気下支え - 毎日新聞

政府が新たにまとめる経済対策の事業規模を20兆円超で調整していることが20日、分かった。当初は10兆円超の見込みだったが、倍増させる。追加の財政支出は3兆円超(国・地方の合計)として、残りは財政投融資や民間事業を積み増してかさ上げする。事業規模を膨らませ、景気下支えに本腰を入れる姿勢を示す狙いがあるとみられる。

事業規模20兆円超の内訳は、国・地方の追加の財政支出が3兆円超▽国が低利で民間事業に長期融資などを行う財政投融資が最大6兆円程度▽国の補助を受けて民間企業が行う事業が6兆円程度▽財政投融資とは別に政府系金融機関が手がける融資が5兆円程度−−となる見込み。

 複数年度にまたがる民間事業を含めることで見かけ上の規模を大きくする。追加の財政支出の財源は、建設国債(使途を公共事業などに限る国債)を1兆円超発行するほか、低金利に伴う国債の利払い費の減少分などで賄う方針だ。

 追加の財政支出はインフラ整備が主体となり、訪日客拡大に向けた地方の港湾整備や、農産物の輸出拠点設置などを行う。財政投融資リニア中央新幹線の大阪延伸前倒しに約3兆円、整備新幹線の建設に約8000億円を充てる。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う金融市場の混乱を防ぐため、政府系金融機関を通じた民間企業へのドル資金融資も行う。

高まる経済対策期待、20兆円超報道で:識者はこうみる | ロイター

朝方は、政府が経済対策の事業費を20兆円超とする方向で調整しているとの報道が伝わったが、全体的に「張りぼて」な感じがする。国の補助を受けて民間企業が行う事業、財政投融資とは別に政府系金融機関が手掛ける融資の部分に関して、実際にどのくらい支出があるか分からない。そもそも低金利状態で資金調達については問題がなかったはずなので、国内の民間投資が増えるか疑問だ。


全体としては20兆円という数字ですが、そのほとんどは数年にわたる長期的なものであるうえ、間接的な財政投融資じゃん、と。結局それ以上はできなかったということですね。

そりゃそうだ。15兆円は国債発行などで無理すればねん出できるとしても、政府にそれ以外のところで具体的にどこに直接突っ込む先があるというのか。オリンピックのための設備が2500億円になっただけであれだけ騒ぎになったのに。

企業だってマイナス金利状態なのだから、需要があれば投資して金利を得たくてしょうがないのに、それでも投資できる先がなくて困ってるわけです。政府だってどうやって需要生み出せばいいのかなんてわからない。

今回の3兆円にしたって結局昔ながらの建築とかそういうレベルにとどまってる。この3兆円ですら相当頑張ったほうじゃないかと思うくらいです。需要を生み出すって言ったって、具体的にどうすればというと難しいのでしょう。だから今までだって景気刺激のためにバラマキとか金融政策とかしかできなかったのかもしれません。

そう考えると「財政政策」は抜かずの刀だったのかも知れませんね。日本政府には財政政策という切り札がまだ残っている。その気になればガチで景気刺激ができる、そう思わせることの方が大事だったのかも。



そりゃその気になれば、田中角栄時代のように介護やら地方創生とかで一時的に需要は創出できるでしょうが、そんなんカンフル剤としても下の下。建築バブルが一時的に発生するだけで長期的には不良債権という癌になるだけです。それはもう日本人はすでに体験して知っている。

結局「イノベーション」分野か「建築・不動産」しかない。だが、政府は「イノベーション分野」がわからぬし、そもそもイノベーション分野はマザーズ市場だから日経平均に関係ないからそこには金を突っ込まない。かくして、国策でイノベーション企業や、介護福祉事業に大金を突っ込んで支援する欧米と違って、この国は相も変わらず建築に中途半端な金を突っ込む財政政策しか実行しえないのかもしれない。


ああ……これもうほんとどうすんの。この後の日経平均が憂鬱です。

*1:いわゆる財投:政府が民間主体に貸し出して、民間の投資を刺激する、という資金

*2:建設国債等に基づいて、政府が主体的に事業を行う資金

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