メアリー。確かにあなたの言い分は正しいかもしれない。
でもあなた(主人公)と相いれない者は悪かしら?違うでしょう?
あなたと違う正義をしんじるものだっている。
何が悪かなんて誰にも分らない。だけど私たち貴族にはそれを決める権利がある。
そのかわりに人々の上に立ち、導くものとして
ふさわしい言動が求められていることを決して忘れないで。
悪役令嬢モノ。公爵令嬢が死刑になった後ある時点からやり直すというシンプルなもの。
死刑になった理由は誰かを殺してしまったことだけれど、正確にはわからない。
悪役令嬢もののテンプレへ感じがちな不満を見事に解消してくれている作品
さて、「悪役令嬢」というテンプレについてはちょっと不満があって元の人生では人をいじめる悪い奴、であるところから人生やり直した程度でいい人になんかなかなか慣れるわけないと思うんだよね。
だいたいのばあい、その気になれば周りの世界はやさしくて、自分がギスギスしてただけっていう「自分だけが問題だった」みたいな設定にしてることが多い。これをすんなり受け入れられちゃう人って引き寄せの法則とか鏡の法則とかそういうの好きそうだよなって思う。
その点この作品は、もともと公爵令嬢だったけれど母親が死んで、再婚相手の妹が優遇される中で生きづらかった、という前世部分にちゃんと合理的な説明があるのが良いところ。だから当然転生しても、ちゃんと悪役令嬢にならざるを得なかった因縁みたいなのはそのまんま残ってます。悪役令嬢だった理由が自分だけの問題じゃないんですね。
そこがしっかりしてるからRTAやってるような感覚じゃなく、今回は今回でしっかりかんがえてのりこえていかないといけない感じなのが良いですね
修道女になろうトラップも回避
ここまではよかったんだけど、なんかもう一つのパターンとして「家を出て修道女になろう」っていうテンプレートができてまして、こっち方向に行くとまたありきたりになってしまう。なぜか異世界転生とか悪役令嬢ものの修道女は制約が厳しくなくてお手軽な悠々自適生活が送れることになってたりするので。
んなわけないやろって。
この二つの制約を乗り越えたところに、オリジナリティが生まれる余地があります。この作品はその点もクリアしてるかなと。
この作品のオリジナリティは「主人公」であるメインヒロインは母違いの妹であること。
(というかゲームじゃないんだけどね
そして、「自分が将来家を出ていこう」だけじゃなくて「そのために主人公である妹には対立するんじゃなくて立派になってもらうために教育しよう」ってなること。母違いの妹は貴族階級ではなくもともとは庶民階級だったのでそういう関係になってる。
まぁそれにしても前世のことを考えたら憑き物が簡単に墜ちすぎだとは思うけどまあそれはいいや。
そのあたりは「しがらみがないゲーム世界に取り込まれる」のほうが説得力あるんよね。
何にせよ、悪役令嬢の根幹は「度を越した欲望を手放すことで自分にあった幸せを掴む」であるよなあと
二周目の女性はとにかくバッドエンドを身をもって体験することで
「殺されるよりもマシ」っていう風に自分の譲れないラインを大幅に下方修正します。
一周目の時は自分が一番ちやほやされなきゃダメだったのが
二周目ではむしろ静かに暮らしたいととなる。
そうすると急に考え方が変わる。
これによって余裕ができる。
自分は欲深くなくなり、かつ身近な人を気遣ったり応援したりできるようになる。
こういう結構ダイナミックな変化があってそれにより状況が好転しだすわけですね。
このあたりが女性に受ける要素なのかもしれないよね。
高い水準を満たさないといけないという強迫観念から解放されてほどほどで満足する。
信頼できる友達と甘い恋愛の果実だけを楽しめればそれで充分。
今まであれもこれももとめて何一つ得られずあげく嫌われ者と比べてなんと充実した人生であることか!
そんな感じかなと。
まあそれを楽しむために「侯爵令嬢」という生活に全く不安がなくて容姿にも自信が持てる設定が必要なのはまぁ許したってくれと。
一番人気の「破滅フラグ」は美人じゃない設定だったけどそれ以外はだいたい美人ですよね。
やっぱり登場人物を美人以外にしたがるひとそんなにいないのかなって
おっおっ? ユランくんも2周目か?
この作品、すごくうまいことつくられてて面白い。
固定的じゃなくていろんな変動要素があって面白いね!
クローディア王子も、ユラン君も、妹のメアリーも前回とは全く違う。
うーん。これは先が楽しみになるな。 続きもよもう
いやほんと、悪役令嬢モノはどれもこれも似てるけど出来がいいの多くて好き。