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嘘と自己欺瞞の心理学 | 長谷川豊さんの記事を読みながら

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長谷川豊さんの言動について、嘘に関する2冊の本を思い出した。
別に長谷川さんが嘘をついていると断定するわけではないが、話に矛盾が多くなにかしら嘘はついているだろうと私は判断している。

また、長谷川さんをサイコパス呼ばわりする人は多いが、私は長谷川さんはサイコパスではないと思っている。(むしろそれより悪い)
サイコパスは良心の源となる他人の心がわからないだけであり、悪をなすとは限らない。だが長谷川さんはたぶん他人が自分のことをどう思っているかわかっている。そのうえであのようなふるまいを続けているのだ。だとすれば、その意志力の強さには目を見張るものがある。なぜあそこまで強固に自分の誤りを認めようとしないのか。

長谷川さんがそうだと断定するわけではないが、アメリカの医師ペックは、長谷川さん的な特徴を持つ人物を指して以下のような本を書いた。

「平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学」

文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)

文庫 平気でうそをつく人たち 虚偽と邪悪の心理学 (草思社文庫)

完全性という自己像を守ることに執心する彼らは、「道徳的清廉性」という外見を維持しようと絶えず務める。彼らが心を煩わせることはまさにこれである。彼らは、社会的規範というものに対して、また、他人が自分をどう思うかについては、鋭い感覚を持っている。
つまり、彼らには、善人たらんとする動機はないように思われるが、しかし善人であるかのように見られることを強烈に望んでいるのである

邪悪性の基本的なもととなっているのは、罪悪や不完全性に対する意識の欠如ではなくそうした意識に耐えようとしないことである。彼らは自身の邪悪性を自覚していると同時にそうした自覚から逃れようと必死の努力をする。邪悪性とは、罪の意識の欠如から生じるものではなく、罪の意識から逃れようとする気持ちから生じるものである

邪悪な人たちと精神的に病んでいる普通の人との間の違いは、邪悪な人たちがある特殊なタイプの苦痛から逃れようとするところにある。邪悪な人たちは、一般的な意味での苦痛からの逃避者、つまり怠惰な人間というわけではない。それどころか彼らは、ご立派な体面や世間体を獲得し維持するためには人並み以上に努力し、奮闘する傾向がある。彼らに耐えることのできない特殊な苦痛とはただひとつ、自分自身の良心の苦痛、自分自身の罪の深さや不完全性を認識することの苦痛である

精神的に健全な人は、程度の差こそあれ、自分自身の良心の要求するものに従うものである。ところが、邪悪な人はそうはしない。自分の罪悪感と自分の意思とが衝突した時には、撤退するのは常に罪悪感であり、勝ちを占めるのが自分の意思である。邪悪な人たちの異常な意志の強さは驚くほどである。

長谷川豊さんがそうかどうかはわからないが、嘘に頼って成功する人というのはすくなからず存在する。そういう人たちはあまりにも嘘に依存しているから、嘘がなくなると自己を維持できない。


うそつき 嘘と自己欺瞞の心理学

また、もう一冊「うそつき」という本がある。こちらは他人事ではない。我々も嘘をつくということを語る本である。

うそつき―うそと自己欺まんの心理学

うそつき―うそと自己欺まんの心理学

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非言語的動作を飾る際に用いられる主な戦略

①卑小化
内心の動揺が外にあらわれるのを阻もうとした結果生じる。
②誇張
自身の抱いている感情を最大限に表現しようとする行為
③中性化
情動的反応を隠す行為。いわゆるポーカーフェイス
④代用
自分の真の感情を隠そうとするときに一般に働くメカニズム。

自我防衛規制

フロイトの娘アンナが最初にいいだしたもの。自我防衛規制とは自分自身をだますもの

①否認:容易に実証しうるような現実や事実を否定することをいう
②妄想的投影:内的な欲求が現実を大きくゆがめたもの。
③わい曲:自分の内的欲求に合うように外的現実をはなはだしく変形させること
④投影:自分では認めることのできない自分の思考や感覚を他人のものにする、ていうプロセス。
⑤行動化:調整のうまくおこなわれなかった不安や本能的衝動から生じた行動を行動化(アクテイングアウト)という
⑥心気症(ヒポコンドリー):他人に対する非難や怒りが自分自身に対する非難に転化し、それが痛みその他の身体的症状の知覚となったもの。
⑦受動攻撃的行動:他人に罪悪感をいだかせようとして、自分自身を傷つけたり自滅的行為に走ることが多い
⑧分裂症的空想:外界からの問題を否定し、それから逃避するメカニズムがこれであるが自負心を強化する働きをするものでもある
⑨解離:我慢ならない感情をひき起こす考えや記憶や経験を隔壁化して、それを意識的自我から排除するメカニズムのことである
⑩置き換え
・知性化、隔離、合理化
・反動形成
・抑圧
・愛他心
・予期
・昇華
・抑圧
・ユーモア

自我防衛機構

レベル1ー自己愛的段階
否認
妄想的投影
わい曲

レベル2ー未成熟段階
投影
行動化
心気症
受動攻撃的行動
分裂症的空想
レベル3ー神経症的段階
解離
置き換え
知性化
隔離
合理化
反動形成
抑圧
レベル4ー成熟段階
愛他心
予期
昇華
抑制
ユーモア

自発性作話症

過去の記憶と現在の記憶とが混同されている

うその話をしている人に否定的な感想を述べるとうその程度がエスカレートする。一方ほんとうのことを語っている人に否定的な感想を述べるとさらにほんとうのことを語ろうとする

幸せ症候群(ハピネスシンドローム)

自己欺瞞の最大の被害者は自分である

絞り出し ものぐさ精神分析

絞り出し ものぐさ精神分析

『自分に嘘をつかない』 P185~
「嘘も方便」という諺もあり、人に嘘をつくのは必ずしも悪いわけではないと思うが、自分に嘘をつくこと、すなわち自己欺瞞は決定的に悪い。道義的意味おいて悪いかどうかはさておくとして、自己欺瞞は自分の精神的、身体的健康という純粋に利己的な観点からもきわめて有害である。
自己欺瞞の最大の被害者は自分である。自分に嘘をつかず、そのまま現実を生きていれば、現実とのかかわりのなかで自ずとやりたいことが湧いてくるし、自分の助けを必要としている人が自ずと眼についてくるし、自ずと生き甲斐は感じられてくる。生きていることが虚しいのは現実を生きていないからである。何か不都合なことがあると、「なかったことにしましょう」と言う人がいるが、あること、あったことを「なかったことにする」ことこそ、ほんとうの生き甲斐を失わせる最大の原因である。それはまた、不可避的に現実への不適応をも招く。

https://omoinoha.exblog.jp/23174842/

理解することが目的であってレッテルをはることや断罪を目的としてはいけない

こういったメカニズムを理解しておかないと、長谷川豊さんの文章を読んでも混乱して気分が悪くなるだけだ。まずは防衛のためにもこうした知識は持っておいたほうが良い。自分の枠内で理解しようとするとこちらの精神を壊される危険がある。

ただし、こういったものを直接長谷川豊さんにあてはめないように気を付けよう。

病気を治そうという意図なしに病気を研究することはできない。さもなくば、それはナチのやったことと同じものになってしまう。悪の心理学は、治療のための心理学でなければならない。

私はここにあげられている全てが長谷川豊さんに当てはまるとは思わない。精神科医でも彼の内面をすべて分析することはできないだろう。我々素人ができるのは自衛の方法を学び、あとは専門家に任せることだ。

我々だって嘘をつく

上記では比較的長谷川豊さんに当てはまる部分を取り上げているが、我々にだって当てはまることは多い。

儀礼的うそ
・愛他的うそ
・防衛的うそ
・攻撃的うそ

我々はすべてが真実の世界には耐えられない。嘘は必要なのだ。自分にうそをつくのが下手人は鬱になりやすいとされている。 そのうえで、可能な範囲でうその世界から身を乗り出す勇気が必要ってことが語られている。

うそを語り合りあう光景が常態なのは、人間にとっての自負心の重要性の証左であり、そして自分がいかに弱い人間であるか知っているからこそ互いに嘘を口にし合う欺瞞性を「暗黙の了解」として不問にし、互いを支え合っているのかもしれない。

http://d.hatena.ne.jp/sa-hiro/20090330/p1

 本書を読み進めていくと、いかに無自覚的あるいは意識的に自分で自分を騙し、自己充足の世界のうちにまどろんでいるのかを痛感させられる。その幻想世界からの覚醒は痛みを伴う。脳内で都合のよいように出来事を編纂し作り上げてきたファンタジーの世界ではダメージを受けることはないが、現実の介入によって強引にでも真実を見せられてしまえば、やはり無傷ではいられない。それはかなりヘビーな体験である。

しかし時に現実を直視し対峙するというのは、自己を進化させ世界とより深くコミットしていくことでもある。傷つくことなしに成熟することはできない。われわれは現実と幻想の間を行き来する場所にいる。

長谷川豊さんが政治家を目指す間は批判することにも意味はあっただろう。だが私人に戻るというのであれば、彼は「ああなってはいけない」という反面教師として取り上げる程度でいいのではないか。


自己欺瞞より恐ろしい組織(集団的)欺瞞について

長谷川豊さんに関係ないので今回は触れないが、あべ政権下の官僚たちの問題や、エコーチャンバー現象の大本となる話がされているのでここも読んでおくとよいだろう。「相互自己欺瞞の強化」がいきついた先は、ヒトラー政権下のドイツの歴史が教えてくれている。


最後に

ちなみに「うそつき」のほうでは稀代のうそつきである「デマラ」さんという人物について語られている。この人物の話はめちゃくちゃ面白いので、この部分だけでも読んでみてほしい。

フェルディナンド・ウォルド・デマラJr – Wonderland

ja.wikipedia.org

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