本編である劣等生はあんまり好きじゃないけど、妹が主人公のこっちは普通に面白い。
元々劣等生ワールドは、ハリポタ的な立て付けによくわからん中二病アレンジを加えた作品だと思っている。そのうえで、主人公たちが妙に幼稚で、かつ選民意識が強いのがやたらと鼻につく作品になっている。だったら最初から「優等生」「エリート」として押し出してくれた方がよい。
この作品に限らず「劣等生とか負け犬ってことになってるけど実は最強なんだよねー」っていう設定はさすがにもう自分の年になると受け入れがたいので。(若い人がそういうの好きなのは否定しない) それ単に責任放棄してめんどくさいところ回避しておきながらおいしいところどりしたいっていう幼稚さの表れでしかないから。
妹である司馬の妹さんは、恵まれた環境に生まれ育っているがちゃんと能力もあるし努力もしているので、まぁそれに見合ったノブリスオブリージュがあればいいと思う。少なくとも達也よりは不快感は少ない。達也の能力はチートすぎるのに対して、割と能力がまっとうなのもよい。能力もてあまし気味で動機レスな達也と比べてみゆきの行動原理はわかりやすい。
とにかく原作の最初の章では、「学校内での格差を何とかしよう」って話をしながらも、司馬兄妹はどうしようもない差別意識をむき出しにしていたので、これに作者が自覚ないのほんとに致命的だなと思ってた。そのあたり、改めて作者以外のかかわりが入ったためか、ものすごくマイルドになっている。
いやそれにしても、1巻の1科生(ブルーム)の2科(ブルーム)傲慢な態度ってホント中学生が考えたみたいな都合の良いイメージで笑うな。あれか、世間の人たちは東大とか慶応もこういうイメージで見てるのか。ふーん。んなわけないやろバカじゃねえのか。
こういう描写を入れたうえで「魔法使えないひとたちによる反差別は許さない」って人の声をバッサリ切り捨てるってのが重なると読み手にどういう印象を与えるかというと
「たまたま能力があって優秀なお兄様が二科生だったから差別に反対するようなことを言ったけど、優秀でない二科生は差別されてもOKだと思ってる」ってことになるんだよね。そして、実際その感覚はこの後にまったく裏切られることはない。お友達が二科にいるが、優秀でないものとは一切かかわらないし、実際最初の1巻を除いて二科の差別に対してなにかをしようって行動は全く起きない。
というか、4巻の突入作戦で、レオとエリカが参加してる時点でなぁ・・・・・・。
この「立場による態度のねじれ」あるいは「純粋な能力優遇主義」の臭みがこの作品を無茶苦茶気持ち悪いものにしてる。司馬兄妹は、兄がたまたま差別される立場でなければ、笑って二科を見下していただろうなということなんですよね。
・・・いかんいかん。この漫画はとにかくみゆきかわいいって言っておけばいいだけの作品なのだ。マジレスするとツッコミどころ多すぎるから