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「やはり俺の青春ラブコメは間違っている続」5話感想  雪ノ下雪乃の本当の願いについて

表ブログでは他人の記事を紹介しました。私のはひっそりこちらで。


8巻総評

わかるものだとばかり思っていたのね……

8巻は単体で見ると「コレデヨイ」なお話です。
7巻のヒッキーの行動によって破綻しそうになった三人の関係が空中分解するのを防いだ。
でも、全体で見ると、これで本当によかったのか?と思わされる話でしたね。

俺は何か間違えたのではないか。その疑念だけが残った。
たとえば、例えばの話である。たとえばもしゲームのように一つ前のセーブデータに戻って
選択肢を選びなおすことができたとしたら、人生は変わるだろうか。答えは否である

8巻の内容味わうためには
これまでの積み上げというか雪ノ下と比企谷の関係の整理が必要ですよね。


比企谷と雪ノ下の類似点

①比企谷も雪ノ下も「できる人間がやる」「自分しかできないから自分がやる」に縛られている

どちらも有能だから、だいたいのことは出来てしまう。
そして、依頼されたら、自分を押し殺してでも、自分を犠牲にしてでもやってしまう。
(当人たちに自己犠牲の意識はない。そうすべきだからそうするだけ)

そして、それが自分にとって当たり前だと思ってるから他の人がどれだけ心配しようとも譲らないし
他人から感謝されたりすることを鬱陶しいと感じてはねのけてしまう。


6巻においては、雪ノ下はすべてを背負い込んで実行委員の裏方をやらされそうになった。
(ただ、本気を出した瞬間一転して相楽を食ってしまったわけだけれど。ゆきのんまじ優秀)
この際、雪ノ下は比企谷や由比ヶ浜が心配しても一向に取り合わなかった。
だから、比企谷は雪ノ下のあり方を変えようとせず「比企谷のやり方で」サポートすることになった。

7巻では比企谷が犠牲になって自分だけ悪者になることで事態を無理やり解決させた。
こちらも、八幡は二人がそういう方法を嫌うことを知っていてなおその方法を選択した。

なので、2話において雪ノ下が比企谷のやり方を「あなたのそういうやり方嫌いだわ」という部分があるが
雪ノ下にとって「自己を犠牲にすること」は問題ではない。
それを問題視しているのは由比ヶ浜や葉山であって雪ノ下ではない。ここ大事。


6巻と7巻での対比があって8巻の対立につながってるわけです。
なので、理想を言えば、ここはクールの壁でぶった切らないで欲しかったですね。




②比企谷と雪ノ下は「他人のために動く」が、一方で「自分の意思で動く」ことができない

問題を与えられなければ、理由を与えられなければ、動き出すことができない人間もいる。

比企谷は実はそうでもないのだけれど。雪ノ下は顕著。
能力は非常に高いのだけれど、家族との、特に姉との関係において問題を抱えているため
それがひっかかって、自分の意思で行動するということが難しい。
だからこそ逆に、「自分ができる事」は何があってもやろうとする。
そのときだけが、自分の存在を周囲にアピールする機会だから。


だから、依頼についてもそのまんま受け取る。
5巻以降顕著だが、奉仕部の依頼はむちゃぶりが多い。
普通の人間だったらちょっと文句行ったり交渉して軌道修正させたりする。
しかし二人はそれを、真正面から受け止めて解決しようとしてしまう。


そういう意味で、奉仕部というのは、ピーキーな能力をもつ二人にとって、学校で能力を発揮できる貴重な場であると同時に、どうしても無理をしてしまうという意味ではあまりよくない環境であるとも言える。



③比企谷と雪ノ下は出会った時から相互監視状態にある

1期から間が開いてしまったため
「事件」において両者がどういう合意状態におちついているか忘れがちだけれど、
その時の「ウソ」を巡って緊張関係にある。

「6巻 文化祭編」の後の会話において一端の決着を見ているが、
そこからもお互いの生き方をチェックしあう関係にある。
そういう意味でいうと、この作品においては6巻までがひとつの区切りでもあります。

上と矛盾するけれど、6巻まではひとつながりでないとダメだから
2~3巻の内容をすっ飛ばしてまで1クールの中に6巻までの内容を詰め込んでるんですよね。



比企谷と雪ノ下の相違点

①二人とも似たもの同士だが、問題に対するアプローチは根本的に違う

平塚先生の評価にある通り、
雪ノ下は手続き重視の正攻法であり、一方比企谷は絡め手や、アクロバティックな方法を使う。
その際に外側に協力者を求めるためのパイプとして機能したり
二人の意見の対立をなだめて一体として活動させてきたのは由比ヶ浜である。
なにげに由比ヶ浜の功績はかなり大きい。


本来は事後のことを考えると雪ノ下のやり方が好ましい。
奉仕部に持ち込まれる案件は、「依頼そのままで解決すること」を考えると
比企谷のようなやり方でないと解決できない問題が多い。
だからこそ、今まではいろいろ問題はありつつも比企谷が貢献するケースが多かった。


②雪ノ下はスクールカースト上位、比企谷は下位

本来両者は交わる関係ではない。
雪ノ下は比企谷を必要としないし、比企谷も雪ノ下に依存しない。
奉仕部という枠組みにおいて無理やり結び付けられているだけの関係にすぎない。
(本当は、上記の「事件」があったからつながりはあるけれど
 それでも、奉仕部活動がなければ接点すら持たなかった可能性がたかい)



8巻(3話~5話)における両者の対立の背景

6巻終了の時点で「奉仕部という枠組みが限界をむかえつつある問題」
7巻終了の時点で「二人の方向性の違いが許容できなくなっている問題」
という2つの問題が顕在化しつつあった。

奉仕部にいる限り、雪ノ下は常に受け身でなければいけない。
雪ノ下雪乃という優秀な人間の本文を発揮することはできない。
また、7巻において、比企谷は雪ノ下の許容しない方法を取った。
(6巻でもやっているけどこの時は雪ノ下はそのシーンを目撃していない)

雪ノ下雪乃は1巻の最初からずっと正攻法の人間である。
問題を回避したり、ウソをつくというやり方が気に入らない。
だからこそずっと「事件」について悩んでいたわけだし
6巻でも理不尽な目にあいつつも最後まで己の役職を全うしようとした。

能力があるゆえの発想だが、とにかく曲がったことが気に入らない。
その上で、比企谷自身のことが気になり始めているため、
彼が自分を曲げてまで問題解決を優先することが許せない。

で、8巻でやはり根本的な違いを認識することになったため、決裂する。

そんな上辺だけのものに意味が無いといったのは、貴方だったはずよ

雪ノ下雪乃は何を望んでいたのか

まず少なくとも確実に言えることは
「生徒会長になりたかった」という単純なものではないということです。


多分、雪ノ下雪乃自体もよくわかってない。そもそも、それがわかるような人間なら、性格上それに向かって妥協無く突っ走るのが雪ノ下雪乃という人間なのだから。で、自分でもわからないから、比企谷にそれを見出して欲しかったんじゃないかな、と。



今回能動的かどうかはともかくとして、雪の下は「おねえちゃんがやらなかった生徒会長をやってみる」という道に一端進もうとした。それが自分の望みなんだと「思い込もう」とした。


でも、やはりそれは「姉を意識しすぎた選択」であり「本当」ではない。
だから、それを見ぬいた比企谷に阻止されることになった。

そんな感じだと思います。

だから、比企谷は正しく雪ノ下の心を理解している。間違ったわけじゃない。
しかし雪ノ下としては、もっと深い部分まで拾い上げて欲しかったのだと感じました。
雪ノ下は、そこまで比企谷に頼ろうとしてたってことです。


もちろん、比企谷も神ではないのでそこまでは到達できなかった。(当たり前だ、比企谷は相手の心は理解できるが、本人にすら答えが見えてないものはわからない)


だから、雪ノ下はそこまで期待してた自分の浅はかさを自嘲しながら例のセリフを言ったのではないでしょうか。



はい、そういうわけで、答えはわからないという前提のもとで、
間違ってもいいからもうちょっと考えてみましょう。

雪ノ下さん、どう考えても「奉仕部」での関係性が好きですよね。
その上で、自分の本分も発揮したい、姉を見返したいとも思ってますよね。

片方を取ると生徒会になる。でも、それだけだと離ればなれになる。
だから立候補の際に奉仕部とも両立すると主張したわけです。

子どもじみた発想であり、あんまり現実的ではない。
だって、6巻ですでにそれが無理なことは体験してるのだから。
それでも雪ノ下は本気だったのでしょう。


意外と子供っぽいところが彼女にはあるのです。
何も捨てられない。全部が欲しい。
だからこそ、姉のことも嫌いだけど嫌われたくない。
嫌われてもいいから自分のやりたいことを思い切ってやろう、と割り切れない。
だから、今回も、無理だとわかってても両方やろうとした。
当然、今後恋愛のような展開になっても由比ヶ浜に遠慮して踏み込めなくなるでしょう。


そうやってわけわからなくなった時に、
雪ノ下雪乃はすぐに八幡の方を向いてしまうクセが付いてしまってたわけです。
だって今まで無理だとおもったことをなんでも解決してきたから。
私のこの問題だって、なんとかしてくれるって期待してしまった。

ついでに、この問題にかぎらず、私の今まで抱えてきたつらいものすべてを解決して欲しい。
自分でもどうしていいかわからないけどなんとかして欲しい。
エロゲーの主人公みたいに!
そんな風に思ってたんだと思います。



雪ノ下雪乃はとっても優秀だけど、自分のことだけはどうにもならなくて持て余してる。
子供っぽいし、わがままだし、向き合う勇気も今までなかった。




そんなところだと思います。あーもうめんどくせー。雪ノ下雪乃はめんどくせーかわいい。

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